業者に頼まないで遺品整理を早く格安で行うための方法
遺品とは故人の遺産の中でも物品などの動産のことを主に言います。不動産や預金、株券などとは違い、生活雑貨や身の回りの品物など財産価値の低いものが多いイメージですね。
身内(親兄弟など)が亡くなった場合に、いわゆる形見分けなどをしますが、急な場合は法事が終わってからすぐに遺品整理・処分にかかることが多いようです。同居していればそれほど大変ではありませんが、離れて住んでいて故人が一人暮らしだったりすると大変面倒な作業になります。賃貸住宅を明け渡す必要があったりすると引っ越しの作業なども加わるため、さらに悩みが増えるようです。
今回はそんな大変な遺品整理について、いざという時に慌てないためにできるだけ安く、簡単に済ませる方法をご紹介します。一軒家やマンション、またはワンルームなどで金額なども全然変わってきますが、まずは2DKくらいのマンションをモデルケースとして進めてみたいと思います。その前にもう少し詳しく遺品整理について説明します。
目次
そもそも遺品整理とは? 遺品整理士という資格も登場。
もともと親族などが亡くなった時は故人の遺族が片付け、掃除、不用品の処分などをしていました。もちろん今でもこうしたやり方が一般的ではありますが、特に離れて暮らしていた身内が亡くなったり、あるいは大きな家に住んでいた、といった場合、時間的にも人手の面でも遺族だけで行うことは非常に困難です。便利屋や遺品整理をうたう業者にお願いすることが当たり前になり、そうした業者も増えてきました。
しかし、こうした仕事に対して法整備がほとんど整っておらず、法外な金額を請求したり、不用品をちゃんとした処分をせず、不法投棄をしたりという業者も少なからず存在するようです。
こうした問題に対処するため、2010年に「一般社団法人遺品整理認定協会」が発足し、現在では2万人を超える会員と1,000社くらいの法人会員を擁する民間団体となりました。遺品整理士の認定を行っており、毎年3,000人前後を遺品整理士として送り出しています。
遺品整理業には便利屋やリサイクルショップ、不用品回収業者に不動産業などから参入が相次いでいます。高齢化社会がさらに進行し、50歳以上の男性の3人に1人が未婚者になり、高齢者の2人に1人は孤立死をする可能性があると言われる2030年問題も出て来たことで、今後こうした業者はさらに増加すると予想されます。資格を取得した優良な業者がある一方、悪徳業者が言葉巧みに契約を取り付け問題になることも多くなりそうです。資格を持っていなくては遺品整理業ができない、ということは現状ありませんので、普通の人には見分けが付きませんし。
今回は業者探しの前に、まずはお住まいの(または故人の住んでいた)自治体をフル活用してできるだけ安く、身内で簡単に遺品整理を行う方法を具体的な金額なども出して見ていきたいと思います。
まずは遺品を五つに分類し、貴重品などはボックスに入れ保管しよう!
遺品整理に手を付ける前に、まずはマスク、軍手、タオル、カッターやハサミ、ガムテープ、ヒモ、サインペンやボールペン、メモ用紙(付箋)、段ボール、ごみ袋、メジャー(家具などのサイズを測定するため)などを事前に用意しておきましょう。暑い時期は水やスポーツドリンクなども買っておきたいところです。
現場でまず最初にやる作業は遺品の優先順位付けというか、処分方法を仕分けていきます。通帳や現金などの貴重品、きれいな家具や未使用雑貨などで身内で再利用したい品目(長兄分とか次男家など)、身内では使わないけどリサイクルできそうな品目(リサイクルとか買取など)、蔵書など図書館などに寄付できそうな品目(寄付)、判断が難しいものは確認、粗大ごみなどに出すか自治体での処分ができないものなどもまとめて処分、と大きく分類して付箋などを貼っていきます。以下で項目ごとに見ていきます。
1貴重品専用ボックスを作る
預金通帳や印鑑、現金、貴金属、不動産関係や株などの書類や契約書などは専用の箱や段ボールのボックスを作ってどんどん入れていきましょう。ここは後でチェックすることにして、とにかくまずは別枠として分けて保管します。
2身内で再利用する品目を分類
リサイクルには出せなくてもまだまだ使える家電や家具などは「再利用(長男)】などと付箋などに書いて貼っておきます。動かせるのなら移動先ごとにまとめておくのがいいでしょう。現場に軽トラなどで来ているのであれば、ある程度まとまったら積み込んでしまうと後が楽になります。
3リサイクル、買取してもらう品目を分類
リサイクルショップで買い取ってくれそうな品目があれば「リサイクル」と書いて分かるようにしておきます。時期によっては金額がつかないケース(引っ越し需要が少ない時期など)もありますし、ただでもいい、くらいの気持ちで考えておくといいと思います。
4寄付できそうな本などをチェック
こちらは有名文豪の全集など貴重な蔵書くらいでしょうか。ブックオフなどで売るのもいいですが、故人の性格(図書館が好きだったとか)なども考慮して、地元や出身地の図書館などに寄付することもありです。
5処分するものを分類
これが一番大変な作業になります。可燃や不燃ごみも膨大になりますし、粗大ごみとして自治体の回収に出せる家具や家電はもちろん、自治体では回収していない品目も多く、方法や専門業者を調べる必要が出てきます。これが面倒でまとめて処分してくれる業者に頼む遺族が多いようです。
今回は可能な限り安くあげるための方法になりますので、貴重品などを除いた故人の所有物全てを処分するという設定で紹介したいと思います。
キッチンやリビング、寝室などそれぞれ場所ごとに整理をしよう!
1玄関回り
玄関回りは靴箱や傘、置物などでしょうか。マンションの玄関は狭いですからそれほど物はないでしょう。新宿区では木製の家具類などは縦横奥行きのうちの長い2辺を足した長さによって金額が変わります。靴箱は一番小さいサイズで算出しました。
靴:¥0(燃やすごみ※以下可燃ごみ)
傘:¥0(金属、陶器、ガラスごみ※以下不燃ごみ)
靴箱:¥400(粗大ごみ※最長辺と2番目に長い辺の合計が135cm以下)
陶器製の置物:¥400(粗大ごみ※30cm以上のもの)
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トータル:¥800
2キッチン・リビング
ここは家の中で一番ものが多い生活スペースです。粗大ごみはだいたいどこの自治体も30cm以上になりますので、微妙なサイズは粗大ごみに分類しておいた方が確実です。
鍋(圧力鍋・中華鍋など)、フライパン:¥1,600(粗大ごみ。400円×4個。30cm以下は不燃ごみ)
コップ、包丁、食器類、30cm以下のキッチングッズなど:¥0(不燃ごみ※包丁や割れたものは厚紙で包み「危険(キケン)」と書いて出す)
調味料など:¥0(可燃ごみか不燃ごみ※中身の入った醤油などは捨てる。プラスチック容器は可燃ごみ、ガラスや陶器などは金属、陶器、ガラスごみ)
テーブル:¥800(粗大ごみ。ガラス製天板以外最長辺100㎝以上150㎝未満)
イス:¥800(粗大ごみ。400円×2個。ソファ以外のイスは全て同一金額)
トースター:¥400(粗大ごみ)
炊飯器:¥400(粗大ごみ)
電子レンジ:¥800(粗大ごみ)
冷蔵庫:¥6,772(自治体では処分できませんので、「家電4品目」の処分方法で処分してください。リサイクル料金:税込3,672円【170リットル以下】+収集運搬料金:税込3,100円)
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トータル:¥11,572
※冷蔵庫の費用はあくまで目安です。手続きなども含め詳細は家電リサイクル受付センター(03-5296-7200)でご確認ください。
3バスルーム・トイレなど水回り
それほど大きなものはありませんが、シャンプーなどのボトル類やストックしているタオルなど雑貨、小物類が多いので、けっこう面倒な場所です。
タオル、トイレットペーパー、歯ブラシなど:¥0(可燃ごみ)
トイレ掃除グッズ、洗剤など:¥0(可燃ごみ。洗剤などは中身をからにしてからごみ袋にいれてください)
イス(小)、シャンプーなどのボトル:¥0(可燃ごみ。シャンプーなどは中身をからにしてからごみ袋にいれてください)
桶:¥400(粗大ごみ)
すのこ:¥400(粗大ごみ)
バケツ:¥400(粗大ごみ)
脱衣かご:¥400(粗大ごみ)
収納棚:¥800(粗大ごみ。最長辺と2番目に長い辺の合計が180cm以下)
突っ張り棚:¥400(粗大ごみ)
突っ張り棒(3本まで):¥400(粗大ごみ。180㎝以下に収縮又は切断してください)
洗濯機:¥5,584(自治体では処分できませんので、「家電4品目」の処分方法で処分してください。リサイクル料金:税込3,284円+収集運搬料金:税込3,100円)
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トータル:¥8,784
※洗濯機の費用はあくまで目安です。手続きなども含め詳細は家電リサイクル受付センター(03-5296-7200)でご確認ください。
4茶の間(和室)
和室にはそれほどものがなくても、押し入れに何でも詰め込んでいる人は多いと思います。趣味の品やアルバム、手紙類などがあると判断に悩みそうです。
ちゃぶ台:¥400(粗大ごみ。ガラス製天板以外最長辺100㎝未満)
テレビ:¥5,616(自治体では処分できませんので、「家電4品目」の処分方法で処分してください。リサイクル料金:16型以上税込2,916円+収集運搬料金:税込2,700円)
テレビボード:¥400(粗大ごみ)
パソコン:¥0(自治体では処分できませんので、小型家電の宅配回収サービス「リネットジャパン」などに頼んで処分する必要があります。今回は遺族がデータを確認する設定で持ち帰ります)
マッサージチェア:¥1,200(粗大ごみ。30㎏以下の金額です。70㎏まで2,800円、それ以上は区では収集できません)
タンス:¥2,000(粗大ごみ。最長辺と2番目に長い辺の合計が360cm以下。中の衣類などは可燃ごみで出す)
仏壇:¥2,800(粗大ごみ。最長辺と2番目に長い辺の合計が360cm超)
ふとん:¥400(粗大ごみ。座布団、クッションなど複数ある場合には5枚まで一束)
ギター:¥400(粗大ごみ。ケース含む)
掃除機:¥400(粗大ごみ)
アタッシュケース:¥400(粗大ごみ)
鞄:¥1,200(粗大ごみ。大きめの旅行バッグなど400円×3個)
クーラーボックス:¥400(粗大ごみ)
工具箱:¥400(粗大ごみ)
ゴルフ用品:¥400(粗大ごみ。ゴルフバッグ1つとクラブ14本まで)
敷物:¥800(粗大ごみ。1畳超のホットカーペットなど。180cm以下に切断又は折り畳む)
スーツケース:¥400(粗大ごみ)
扇風機:¥400(粗大ごみ)
ビデオカメラ:¥400(粗大ごみ)
ラジカセ:¥400(粗大ごみ)
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トータル:¥17,216
※テレビの費用はあくまで目安です。手続きなども含め詳細は家電リサイクル受付センター(03-5296-7200)でご確認ください。
5寝室(洋室)
ここはとにかくベッドの処分が一番大変です。サイズによって金額が変わるので、しっかり確認しておきましょう。エアコンはこの部屋にしかない設定にしています。今回は取り外しを遺族がすることで業者に頼む費用を節約します。
ベッド:¥1,200(粗大ごみ。シングルベッドのみの料金で、ダブル、セミダブルは2,000円です)
ベッドマット:¥1,200(粗大ごみ。脚付ベッドマット、畳タイプを含む)
サイドテーブル:¥800(粗大ごみ。ガラス製天板、最長辺100㎝未満)
本棚:¥2,800(粗大ごみ。最長辺と2番目に長い辺の合計が360cm超)
エアコン(室外機含む):¥4,072(自治体では処分できませんので、「家電4品目」の処分方法で処分してください。リサイクル料金:税込972円+収集運搬料金:税込3,100円)
カーテン:¥0(可燃ごみ)
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トータル:¥10,072
※エアコンの費用はあくまで目安です。手続きなども含め詳細は家電リサイクル受付センター(03-5296-7200)でご確認ください。
6ベランダ・共有スペースなど
室内に置いておくとじゃまなものなどをベランダに放置している家庭は多そうです。新宿区では灯油ポリタンクを処分してくれるスタンドが近くにありましたが、ほとんどの自治体では産廃業者を紹介されることになります。当然金額もかさみますので注意が必要です。
室外機:¥0(エアコンの処理費用に含まれます)
物干し竿:¥400(粗大ごみ。3本までで、180㎝以下に収縮・切断又は折り曲げる)
灯油ポリタンク:¥0(自治体では処分できません。「コスモ石油 セルフ&カーケアステーション中野哲学堂」なら残っていても無料で処分してくれます)
ペンキの缶:¥0(不燃ごみ。残った液体は布や新聞紙にしみこませるなどして、からにしてから出す)
植木鉢:¥400(粗大ごみ。土を取り除くこと。土の処分方法が不明な場合は、処理業者を管轄の清掃事務所に問い合わせてください)
原付バイク:¥0(自治体では処分できませんので、まだ乗れそうであれば買取業者などに連絡してみてください。今回は古い原付バイクを処分するということで、国内のバイクメーカー4社が中心となった自主団体、二輪車リサイクルコールセンター(050-3000-0727)に連絡し、指定引取場所に持ち込むことで無料になります)
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トータル:¥800
※弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。
業者に頼まないで遺族だけで遺品整理すると50,000円あればできる!
以上スペースごとに計算した処分費用をまとめてみましょう。
玄関回り¥800
キッチン・リビング¥11,572
バスルーム・トイレなど水回り¥8,784
茶の間(和室)¥17,216
寝室(洋室)¥10,072
ベランダ・共有スペース¥800
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今回の遺品整理トータル費用:¥49,244
業者などに依頼せず身内だけで処分する場合、5万円で収まるというけっこう驚きの結果が出ました。自治体によっても異なりますし、物が多いお宅や、自治体で処分できない品目が増えれば当然金額も上がります。ですが、マンションではピアノや金庫など大きくて重いものはほとんど置けませんし、せいぜい7~8万円あればだいたい収まりそうです。
これが一軒家で、ピアノや金庫、大きな家具が多数あるような家や、いわゆるゴミ屋敷などではどれくらいの金額になるかは、近日中にシミュレーションしてご紹介したいと思います。
※弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。
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「家電4品目」の処分方法
冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンは特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法:一般家庭から排出された廃棄物から有用な部品や材料をリサイクルするための法律)で処分する方法が決まっています。今回は他の4品目と一緒に引き取ってもらうことします。メーカーごとに金額が違うため、今回はすべてパナソニック製で計算してあります。
1)対象品目とメーカーを確認する。冷蔵庫は容量(何リットルか)、テレビはサイズ(何インチか)も確認する。
2)家電リサイクル受付センター(03-5296-7200:月曜から土曜8:00~17:00)に連絡して事前申込をする。ホームページからも申し込みできます。
3)収集日までに担当収集業者と当日の時間、料金などを確認しておく。
4)当日業者に引き渡す。リサイクル料金と収集運搬料金を現金で支払い、家電リサイクル券(控え)を受け取る。