害虫対策は発生源の防御から! 家の中で害虫被害にあわないためにやっておくべき4つの施策

みなさんは「家の中で突然ゴキブリなどが現れて、パニックになってしまった」、「急に小さい羽虫が家の中を飛び回るようになった」などの経験はありますか?

普段、見かけない時は特に気にせずに生活をしてしまいがちです。しかし、害虫の侵入に気づかず放置していると、いつの間にか数が増えていしまい大変な目にあってしまうこともあります。特にゴキブリやチョウバエなどは気を付けていても割と家の中に侵入されやすい害虫です。また、木造の戸建て住宅では知らぬ間に木材をボロボロにしてくるシロアリにも気を付ける必要があります。

このような害虫の侵入を未然に防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?

目次
  1. 1. 害虫が家の中に侵入してくる経路はこんなにある!
  2. 1. 実は害虫の侵入対策に「絶対」はない・・・
  3. 1.1. 1あらゆる隙間から侵入してくる
  4. 1.1. 2ふとした拍子に侵入されてしまう
  5. 1.1. 3外からつれてきてしまう
  6. 1.1. 4集合住宅では隣人にも注意が必要
  7. 1. 実は間違っている? 害虫に関する常識
  8. 1.1. 1シロアリ対策で床下がジメジメしないように乾燥させたほうがよい?
  9. 1.1. 2シロアリはヒノキを食べないから家の建材をヒノキにしたほうがよい?
  10. 1.1. 3ゴキブリが出たけどバルサン使えばもう安心?
  11. 1.1. 4北海道に住めばゴキブリがいない?
  12. 1.1. 5高層階に住んでいるので、うちは大丈夫?
  13. 1. 害虫の侵入を防ぐためにやっておくべきこと
  14. 1.1. 1ポイント1.侵入口はなるべく塞ぐ
  15. 1.1. 2ポイント2.家の中をキレイに保つ
  16. 1.1. 3ポイント3.侵入を想定して罠の設置をしておく
  17. 1.1. 4ポイント4.定期チェック
  18. 1. 事前対策と定期的なチェックが重要

害虫が家の中に侵入してくる経路はこんなにある!

そもそも害虫はどのように家の中に入ってくるのでしょうか?
こちらの間取り図をご覧ください。

部屋の間取りと害虫の侵入経路

部屋の中に存在する侵入経路は、実は図のようにたくさん存在します。
1.玄関
2.換気扇/換気口(通風孔)
3.排水口/排水管を通す穴
4.トイレと床の隙間/トイレの便器内
5.洗濯機の排水パン(排水口)
6.洗面台排水口/排水管を通す穴
7.お風呂場の排水口
8.エアコンのドレンホースや壁の穴
9.窓

玄関や窓は特に大きく外と繋がる出入口になりますので、虫などの侵入には普段から気を付けている方は多いかと思います。しかし、それ以外にも侵入経路はたくさんあることが分かります。

上図のような箇所からの侵入は防ごうと思えば、防ぐことは可能です。とはいえ、普段害虫を見ないまま過ごしていた人にとっては、「害虫はいないもの」なので侵入される前から対策をする考えに至るのは難しいでしょう。また、害虫にとっては人間に気づかれずに侵入してくるのはお手の物です。

下図は床下からの侵入例です。

地面から木材までの距離が短いとシロアリに侵入されやすい

シロアリは基本的に土と木の中に住んでいます。木造の住宅でも基礎部分はコンクリートなどで作られているため、侵入されるようには思えません。しかし、コンクリートは劣化により隙間ができてしまうことがあります。そういったコンクリートの隙間などから侵入して、目に見えない部分から家の木材部分にたどり着いてしまいます。

また、汚いところを好む害虫などは、下水や浄化槽などから屋内に繋がる排水管を通って中に入ってくることがあります。排水管は家の中の様々な排水口と繋がっています。台所、浴室、トイレ、洗面所など、様々な場所が出入口となっています。 水まわりでゴキブリなどをよく見かけるのはなぜか、理由が分かりましたね。

さらに、排水管などのパイプ類を家の中に引き込む際に、そもそも床や壁と配管の間に隙間がある場合があります。パテなどでうめてあっても、経年劣化で隙間ができることもあります。こういった隙間は外に繋がる場合が多く、また気づきにくい場所にあることがほとんどです。このような場所を把握して対策しないと、あなたの家は虫などに侵入され放題ということになります。

実は害虫の侵入対策に「絶対」はない・・・

ここまで、家の中にある害虫の侵入経路についてお伝えしてきました。続いてそれに対する具体的な対策をお伝えしたいところですが…、害虫が侵入してくるのを完全に防ぎきることは実は難しいのです。とはいえ全く対策が無いわけではありません。
ここからは、より詳細な害虫たちの侵入方法について学んだ上で、自宅に潜む危険の対策をできるようになりましょう。

1あらゆる隙間から侵入してくる

害虫はありとあらゆる隙間から家の中に侵入してきます。ちょっとした隙間でも、サイズによってはすり抜けて中に入ってきてしまいます。

・外壁の亀裂や隙間

外壁と内壁の間にある配管や配線を通す空洞部分や、床下、屋根裏などの空間に入り込みます。建物内にはいますが、その後、内壁の隙間や、水まわりなどの配管を部屋内に通す穴などから部屋の中に侵入してきます。

・排水口

下水道や浄化槽、側溝などから屋内に繋がる排水管を通って内部に侵入します。普通の虫は排水口のところにある排水トラップのおかげで出てくることができません。しかし、ゴキブリだけは水の中を移動できるため、排水口から出てきてしまうことがあります。

排水トラップはハエなどは防げるが、ゴキブリは防げない場合がある
・玄関ドアの隙間やドアポスト

経年劣化や施工ミスによりドアとドア枠の間に隙間ができている場合や、ドアポストに隙間があると玄関内に簡単に侵入されてしまいます。さらに、数日家を留守にするのに新聞がそのまま挿さりっぱなしだと、その間は隙間から虫が入り放題ということに。

・網戸の穴や隙間

ドアと同じように隙間がある場合もそうですが、虫のサイズに対して網目が大きすぎたり穴が開いていて入ってくるケースもあります。また、網戸を締めているつもりでも、誤った締め方をしていて窓と網戸の間にも隙間ができてしまっている場合もあります。

・配管を通す穴や壁と床の隙間など

部屋の中にあるちょっとした隙間が建物内の空洞スペースと繋がっている場合、外から入り込んでいた虫がそこを出入口にするかもしれません。

2ふとした拍子に侵入されてしまう

建物の2階以上であればそうそう起きることではありませんが、網戸なしで窓を開けている間や玄関のドアを開けた瞬間に侵入されてしまうことがあります。

また、排水口は排水トラップがあることでゴキブリ以外の虫が入り込む可能性は低いのですが、まれにチョウバエ等が入り込むことがあります。お風呂場の浴室換気扇に「浴室乾燥機能」がついている場合はあまり長時間乾燥機能を使い続けないようにしましょう。乾燥機能により極端に排水トラップ内の封水が蒸発してしまうと、排水管と排水口を隔てるものが無くなります。その結果、下水から嫌な臭いや虫が上がってくることに繋がります。

3外からつれてきてしまう

意図せず、外から中へ招き入れてしまうことがあります。
例えば、飲食店や職場などでゴキブリなどを見たことがないでしょうか?そういった場所でカバンの口を開けておくと、中に紛れ込んでしまうことがあるようです。また、倉庫などで保管された段ボール箱に産卵されたり、小さいゴキブリが中に紛れ込むといった場合もあります。段ボールはゴキブリの巣にされやすいことでも有名ですし、卵を放置していると大変なことになってしまいます。

あなたの家は引越しや通販の段ボールを捨てずに溜めていませんか?

害虫は床に置いたカバンや、段ボールなどに紛れて外からやってくる場合もある

4集合住宅では隣人にも注意が必要

集合住宅に住んでいる方は、自分の部屋だけに注意していても実はあまり意味がありません。

1980年代のアメリカで、昆虫学の研究者がとある調査結果を学術誌に掲載しました。3つのアパートで、隣り合った6部屋をサンプルとして、各部屋にゴキブリがどのくらい繁殖しているかという内容です。恐ろしいことに、ゴキブリが大量にいる汚い部屋があることで、隣のきれいな部屋にまでゴキブリが入り込んでしまうようです。(出典:Proceedings of the ESW v.83 p168-172)

建物A
部屋1 部屋2 部屋3 部屋4 部屋5 部屋6
良好 不衛生 不衛生 良好 良好 良好
158匹 779匹 854匹 209匹 5匹 7匹
建物B
部屋1 部屋2 部屋3 部屋4 部屋5 部屋6
不衛生 良好 良好 良好 不衛生 良好
652匹 151匹 97匹 19匹 259匹 20匹
建物C
部屋1 部屋2 部屋3 部屋4 部屋5 部屋6
良好 良好 不衛生 良好 良好 不衛生
3匹 13匹 112匹 24匹 283匹 1048匹

建物Aでは不衛生な部屋2と3の両隣にあるきれいな部屋1と4にも、二百匹前後のゴキブリがいたようです。実に迷惑な話ですね……。

実は間違っている? 害虫に関する常識

ここまでは害虫の侵入経路に関する事実をお伝えしてきました。続いて、一般的に伝わっている内容の中でも、誤った内容についてお伝えします。誤った内容をそのまま覚えてしまうと、間違った対策をしてしまいかねません。もし間違ったまま覚えてしまっている内容があった場合は、この機会に正しい情報にアップデートしましょう。

1シロアリ対策で床下がジメジメしないように乾燥させたほうがよい?

シロアリは湿った場所をどちらかというと好みます。しかし、かといって乾燥した場所で生きていけないというわけではありません。そこに餌(木材)があればそのままそこに居座ります。

2シロアリはヒノキを食べないから家の建材をヒノキにしたほうがよい?

シロアリは選り好みをして、木材を食べるかどうか決めるわけではありません。単純にヒノキしか目の前に無いのであれば、それを食べてしまいます。

3ゴキブリが出たけどバルサン使えばもう安心?

大抵のゴキブリは駆除できますが、逃げる個体もいます。特に集合住宅などでは、隣室などに逃げ込むことが多く、駆除しきれずにまたしばらくすると戻ってきてしまいます。

4北海道に住めばゴキブリがいない?

ゴキブリは5度以下になると活動ができなくなり、越冬できずに死んでしまいます。
確かに昔は越冬できずに死ぬため数が増えないため、ほとんどいなかったようです。しかし、今は冬でも建物の中は暖かく越冬も可能な環境となりました。また、荷物の移動なども増えたため、荷物に紛れてたくさんのゴキブリが関東から移住していっています。
人が快適な暮らしを続ける限り、ゴキブリは常にあなたのそばにいるということです。

5高層階に住んでいるので、うちは大丈夫?

1階に住むよりも、リスクはかなり減ったでしょう。ただし、それは「上の階までは虫が飛んでこれない」というのが大きな理由です。10階でも20階でも、出るときは出ます。
エレベーターに乗って上の階までやってきたり、宅配の荷物に紛れてくる場合もあります。排水管を伝って上階へ登っていく場合もあります。
「高層階だから虫なんて入ってこない」という油断から、窓を網戸なしで開けっ放しにしてしまうと、隣の部屋からベランダ伝いに虫が移動してくる…なんてことも。

害虫の侵入を防ぐためにやっておくべきこと

害虫の侵入を防ぐために侵入経路や侵入方法についてお伝えしてきました。最後にあなたの住まいに合わせて、覚えた内容を基に対策を考えていきましょう。ポイントは下記の4つです。

1ポイント1.侵入口はなるべく塞ぐ

当たり前のことですが、これが一番効果的です。ここまで読んで覚えた内容を基に、自宅をチェックしましょう。

侵入経路になり得る箇所を徹底的に塞いでいく

壁の穴などをふさぐには、パテなどを使って埋めましょう。
換気口などは風を通す必要があるため、フィルターを張るなどで対応すると良いです。
また排水口も、フィルターやゴミ受けなどが使える場合は侵入を防げる可能性があります。

換気扇 フィルター
換気口 フィルター
パテ
コーキング剤
排水口 ネット

2ポイント2.家の中をキレイに保つ

排水口は害虫の出入口になりやすいため、不衛生だとここに虫が集まるようになります。特に下水などの汚泥を好むチョウバエなどは、こういった場所に卵を産みますので大量発生する原因となります。また、ゴキブリの巣となりやすい段ボールなどがたまっていたら捨てる、生ゴミなどはすぐ捨てるなど、ゴミはすぐに捨てるようにしましょう。

3ポイント3.侵入を想定して罠の設置をしておく

侵入口を塞ぎきれていない場所は、通り道に罠を設置したり忌避剤をまきましょう。

罠や忌避剤に関しては、見かけてから対策するのでは遅いです
ゴキブリ ベイト剤(罠)
ゴキブリ 予防(忌避剤)
シロアリ 予防・駆除剤(忌避剤)
ハエ 予防(忌避剤)

4ポイント4.定期チェック

定期的に侵入口や設置した罠などの状態を確認しましょう。基本的に塞ぐのに使ったものは、劣化により効果がなくなります。設置した罠も交換が必要となりますし、忌避剤の効果も長くはもちません。

事前対策と定期的なチェックが重要

害虫は完全に防ぐことができないため、家の中に入ってこれないように対策して、定期的にチェックをすることが重要です。ポイント4の定期チェックを行い、1~3のうち対応が必要なことをその都度行うようにしましょう。