

皆さんは水まわりの汚れを好み、そこで繁殖するチョウバエをご存知でしょうか? 主に排水管や浄化槽などで有機物が蓄積して、ヘドロ状になった汚泥(スカム)などに生息している小さな羽虫です。家の中ではお風呂場やトイレ、キッチンなどで見かけることがあります。
汚い場所を好むチョウバエはなぜ家の中に入ってくるのでしょうか? 入ってこないようにするには、または駆除するにはどのようにすればよいのでしょうか?
駆除対象の生き物について知っておくことは、駆除または対策をするうえで非常に役に立ちます。チョウバエの見た目は蝶(チョウ)というより蛾(ガ)のような外見で、数ミリ程の大きさしかありません。
生物的には蚊(カ)に近い虫ですが、日本のチョウバエには吸血性のあるものはいません。特に害はありませんが、大量発生することと生息場所が不衛生なため不快害虫として知られています。不衛生なところを好む同じ害虫でも、ゴキブリすら寄ってこない場所にも住み着くことから、チョウバエは最後の害虫とも呼ばれています。特にトイレなどでよく見かけることからベンジョバエと呼ばれることもあります。
ハエというと「ブーン」という羽音が聞こえてきそうなイメージですが、サイズも小さく飛ぶのもあまり早くないため、視認できないと存在に気づきにくい虫です。
チョウバエの害虫としての厄介なところは、その繁殖力にあります。1匹のチョウバエが産む卵の数は約200個、チョウバエが孵化して成虫になるまでは1か月程です。そのため理論上は、卵200個のうち半分がメスだったとして、1か月後には20,000個の卵になり、2か月後には2,000,000個になる計算です。放っておくと大変な数に増えていきます。
また逆に、表面上見えている成虫が数匹だったとしても、実際には卵や幼虫がわんさかいる可能性があるということです。
チョウバエは主に排水管や浄化槽、下水管など汚泥の蓄積される場所に生息しています。排水管は家の中に繋がってはいるものの、通常は排水トラップというもので排水口と排水管の間に水で蓋がしてあります。そのため水の中を通れないチョウバエは、排水口から家の中に入ってくることは通常ありません。
しかし、水は蒸発しますので長期間排水口に水を流さないでいると、排水トラップの水が減ってしまい虫が通れるようになってしまいます。大体1週間から10日前後くらいまではもちますが、2週間以上水を流さない場合は排水管からチョウバエが上がってくる原因となります。
チョウバエは飛ぶ力があまり強くありません。もし、飛んでいるのを見かけたら、その近くに発生源が必ずあるはずです。もし複数匹が近場でまとまって飛んでいるような状況であれば、間違いなく卵や幼虫が付近の水場で見つかることでしょう。
実際にチョウバエを見かけた場合にチェックすべき場所はそれぞれこちらになります。
お風呂場でチョウバエを発見した場合、排水口と浴槽のエプロン内部を確認しましょう。もし排水口から臭いニオイがしてくるようなら、すぐに水を流しましょう。封水が蒸発して排水管から臭気や害虫が上がってきている可能性があります。
また、お風呂場の排水口は1つだけではなく、浴槽の中にもお湯を抜くための排水口があります。浴槽の種類によって異なりますが、図のようにエプロンという外装を取り外せるタイプがあり、エプロン内部で浴槽の排水口と排水トラップが繋がっている場合があります。このようなケースでは排水口だけではなくエプロン内部も確認が必要となってきます。
エプロン内部は汚れが蓄積されやすく、容易に掃除ができないため、ここにチョウバエが入り込み繁殖されると駆除がとても大変です。排水口だけ掃除してもチョウバエを駆除しきることができませんので、できるだけ封水をきらさないことが重要です。また、お風呂場には“浴室乾燥機能”がある場合があります。必要以上に乾燥運転をし続けることで封水の蒸発スピードを早める原因となりますので注意しましょう。
お風呂場以外で気を付けるべき、水まわりの排水口がある場所は以下の3点です。
・台所
・洗面所/トイレ
・洗濯機置き場の排水パン(排水口)
いずれも排水トラップがありますが、ここに汚れがたまると汚泥となりチョウバエの大好きな環境になってしまいます。
例えば、浄化槽や汚水(下水)管は汚泥が流れ着く場所であり、家の中と違いチョウバエを見かけたからと騒がれることもありません。見つかりにくくエサが豊富、かつ見つかっても、繁殖して短期間で数が増えやすい環境です。庭などに浄化槽が設置されている場合、距離によっては窓や玄関付近まで飛んでくる可能性があります。
もし、リビングなどの水まわりから離れた、一見何の問題も無さそうな場所で見つけた場合は以下の場所から発生した可能性があります。
・エアコンまわり
・ベランダの排水溝
・花瓶や水槽
一つはベランダの排水溝などで繁殖してしまい、窓から中に侵入した場合です。網戸を締めていても網目が大きすぎたり隙間ができていたりすると、簡単に入ってきてしまいます。
二つ目はベランダで繁殖していたものが、窓ではなくエアコンのドレンホースや配管の穴などから入ってきた場合。レアなケースですが、ドレンホースなどから入り込んでそのままエアコン内部で産卵し、ドレンパンなどで繁殖してしまうこともあるようです。
三つ目は水をなかなか変えない、中の掃除もしないという場合に花瓶の中や水槽の中などで繁殖してしまったケースです。水を変えないことで中身が汚れてきてしまい、その汚れを掃除せずに水だけ変えることで汚れだけが溜まっていきます。
いずれの場合も、浄化槽や汚水管、排水管などから離れているケースでは、そもそもチョウバエが発生すること自体が稀です。しかし、餌となりうる汚れがあれば、たまたま近くに飛んできたチョウバエがたまたま良い産卵場所を見つけて、たまたま繁殖してしまうというのはありえることです。
チョウバエを見かけたら、どのようにして退治すればよいでしょうか?
もし、チョウバエが飛んでいるのを見かけて、それを退治したとしてもまだ終わりではありません。チョウバエの特徴でお伝えした通り、1匹が200匹分の卵を産みますので成虫だけ駆除してもしばらくすると大量発生します。駆除してもしばらくすると湧いてくる…という無限ループのような状況から抜け出せなくなってしまいます。そのため成虫の駆除はもちろんですが、発生源を特定して幼虫を駆除することが重要です。
チョウバエの成虫は夜行性なので、昼間は壁に張り付いてジッとしていることが多いです。動きもそんなに素早いわけではないので、退治するのはそんなに難しいことではありません。水にも弱いので、風呂場で見かけた場合はシャワーで簡単に倒せます。
とはいえ、簡単に倒せるのは数が少ない場合です。存在に気付かずに放置されて増えてしまった場合は、下記のような商品で対応しましょう。
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煙の殺虫剤「バルサンいや~な虫20g」 屋内で大量に発生してしまった場合は燻煙(くんえん)殺虫剤が一番早く駆除する方法ですね。ただし、姿かたちがそのままで部屋のいたるところに大量に死骸が落ちているのを掃除するという手間もかかります。 また、こちらは人体やペット、植物などにとって危険なものなので、余程の事が無ければ捕虫器やスプレーなどで対応したほうがよいでしょう。 |
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スプレー殺虫剤「チョウバエコナーズ 300mL」 チョウバエが少数発生した場合は直接成虫にかけて退治でき、排水口にかけておけば忌避剤の役割も果たすこちらの殺虫剤がおすすめです。また、成虫だけでなく、幼虫にも効果があるので一石二鳥の商品です。 |
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ハエ取りリボン「カモ井の粘着式ハエ取り 吊るすだけ!」 誘因効果はありませんが、ハエの習性を利用して粘着のりでコバエを捕まえる捕虫器です。1個当たりの値段は500円以下と安く粘着力も高いのですが、即効性はありませんので注意が必要です。仕掛ける場所をコバエの通り道や発生源の真上などにすることで、捕まえやすくなります。 |
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インテリア仕様ライトトラップ「ルイクスCシリーズ」 紫外線ランプで虫を誘引し、本体内部の粘着シートで捕獲する光誘引捕虫器です。薬剤は使われていませんので、人体にもペットにも無害です。スッキリしたおしゃれな見た目でインテリアとして部屋の中においても違和感のない捕虫器です。チョウバエだけでなく、他のコバエ類にも効果があります。 |
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蒸散式殺虫プレート「チャッポリン」 浄化槽に設置して数か月間駆除効果の持続する殺虫剤です。浄化槽内の有機物を分解してくれる微生物には悪影響を及ぼさず、チョウバエ等コバエ類の成虫を駆除できます。薬剤が一定の割合で蒸散する仕組みなので、最後まで効果がおちることなく約3か月間使えます。 |
※弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。
成虫が群がる排水口など、発生源と思われる場所を特定したらそこに幼虫がいるのはほぼ間違いないでしょう。退治しきるには汚泥(スカム)を取り除きキレイにすることが重要です。これが幼虫にとっての栄養源であり住処なので薬剤を使ってきれいに掃除しましょう。
ただし、排水口まわりの幼虫を退治するのに熱湯を使わないようにしてください。排水管は熱湯を流すことを想定された作りになっておらず、あまり高温のまま流してしまうと排水管が変形・破損する恐れがあります。排水管が壊れれば水が流せなくなるばかりか、下水からの臭いや害虫が出てくることになるのでご注意ください。
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コバエ用ムース(スプレー) 排水口や隙間などにチューブを使ってムースを流し込むと、成虫も幼虫もどちらも駆除できます。直接噴射できない、隙間や配管の奥に隠れるチョウバエを駆除するならこちらがおすすめです。 |
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顆粒状の駆除剤「チョウバエバスター」 排水口に薬剤をまくだけなのでカンタンに使えます。排水口の奥にある排水トラップにたまる汚れを洗浄し、同時に幼虫も駆除されます。除菌・防臭効果もあるので発生予防としても使えます。キレイになってチョウバエも駆除できて一石二鳥な商品です。 |
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チョウバエ幼虫駆除「浄化槽用殺虫スプレー」 広範囲に散布できる強力な殺虫スプレーです。浄化槽にわく大量の幼虫や成虫を素早く一網打尽にすることができます。 |
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チョウバエの幼虫駆除剤「デミリン発泡錠」 側溝、下水溝、雨水ます、水溜り、浄化槽、汚水槽などで発生している幼虫に対して効果があります。幼虫の脱皮を阻害し、成虫になる前に駆除されます。また、チョウバエだけでなく昆虫の幼虫の脱皮を阻害する薬剤なので、使う場所に十分注意し環境にも配慮する必要があります。 |
発生源と思われる場所に薬剤を流したり、掃除したりしているのに、しばらくするとまたいつの間にかチョウバエがわいている……。そんな場合は迷わずプロ(業者)に相談しましょう。
家の中に侵入させないようにするために、ドアや窓の開け閉めに注意することと、排水管の排水トラップの水が無くならないように注意することです。チョウバエは体長数ミリと小さく、羽音もないので近くにいても気づきにくいです。出入りの時に近くを飛んでいたら、家に入られないようにするのは大変です。とはいえ、出入りの時に近くにいるということは、そもそも外のその周辺で繁殖しているから近くにいると考えられます。家の周囲までしっかり目を光らせておくと安心です。
また、排水トラップの水(封水)は水を流さないでいると蒸発して水位が下がっていくので、2週間~1か月程で排水管と排水口は直接つながってしまいます。そうなると臭いや害虫を防ぐ手立てが無くなってしまいます。長期間家を空ける予定がある場合は、排水トラップの封水が蒸発しないように封水蒸発防止剤などを使うと約1年程蒸発を防ぐことができます。
排水口や排水管から流れた先の浄化槽などは、掃除しなければ汚れがたまり続けて、雑菌が繁殖して汚泥となります。例え家の中に侵入されても、水まわりをキレイに保つことができればチョウバエが繁殖するような結果にはなりません。
掃除をして水まわりをキレイに保つことと、排水トラップの封水を守る事がチョウバエから家を守ることに繋がります。洗濯物が乾かないからと、浴室乾燥機を長時間運転し続けると封水を突破される可能性もあります。
また、家の中だけでなく外の環境もチェックすることで、浄化槽や側溝で大量発生したチョウバエが自宅まで押し寄せてくるのを事前に防ぐこともできます。
長く放置して繁殖しすぎてしまうと、一般人では手に負えなくなる可能性もありますのでプロ(業者)に依頼して一網打尽にしてもらうと良いでしょう。