家庭で出た廃油(エンジンオイル、食用油、灯油)を正しく処分する方法
日常生活の中で廃油の処分方法に困る場面があります。廃油は環境汚染にも繋がるので、処分する際に下水に流すわけにはいきません。さらに油は引火の恐れのある危険物ですので、ゴミとして出すにしても正しい処分方法が求められます。
この記事では、ご家庭で不要になった廃油(エンジンオイル、食用油、灯油)の処分方法をご紹介していきます。
廃油は放置しておいてもメリットがありません。しっかりとした方法で早めに処分しましょう。
目次
- 廃油とは何か? 家庭で出る廃油は大きく分けて3種類
- 1 一般家庭で出る廃油の種類
- 2廃油は絶対に水や土に流してはいけません
- 廃油の処分方法:エンジンオイルの捨て方
- 1 ガソリンスタンドで引き取ってもらう
- 2 カー用品販売店で引き取ってもらう
- 3 自治体でゴミとして処分
- 4 廃油回収専門業者に依頼
- 廃油の処分方法:食用油の捨て方
- 1自治体で燃えるゴミとして処分
- 2自治体の廃油回収を利用
- 3廃油回収業者に依頼
- 4食用油を捨てる際の注意点
- 廃油の処分方法:灯油の捨て方
- 1灯油販売店で引き取ってもらう
- 2灯油配達業者に引き取ってもらう
- 3 不用品回収業者に依頼
- 廃油は危険物。正しい方法で早めに処分を。
廃油とは何か? 家庭で出る廃油は大きく分けて3種類
1 一般家庭で出る廃油の種類
廃油とは「油脂や油状の廃棄物全般」を指します。家庭で出る食用油から工場などで使われる切削油や鉱物性油まで、幅広い種類があります。
この記事内では、そんな幅広い廃油の中から「日常生活において家庭から出る廃油」についての処分方法をご紹介します。
一般家庭で出る廃油には大きく分けて3つの種類があります。
・車のエンジンオイル(潤滑油系廃油)
・揚げ物で使った食用油(動植物油類)
・ファンヒーターやストーブで使う灯油(燃料油系廃油)
日常生活で出る廃油はそれぞれ廃油の種類が異なります。廃油の場合、種類が異なることで処分方法も異なりますので注意が必要です。例えば、食用油やエンジンオイルは正しい処分方法を守れば一般ゴミとして処分することができますが、灯油は一般ゴミとして捨てることができません。
下記にそれぞれの廃油の処分方法を紹介しますが、廃油の種類によって処分方法が異なることは頭に入れておきましょう。
2廃油は絶対に水や土に流してはいけません
廃油の処分に困っても、家庭のシンクやトイレに流したり、土に染み込ませるようなことは絶対にしてはいけません。
水質汚濁や土壌汚染の原因になるのはもちろんのこと、家庭の排水管を詰まらせる原因にもなります。
必ず以下で紹介する正しい方法にしたがって処分を行ってください。
廃油の処分方法:エンジンオイルの捨て方
エンジンオイルは車の使用に伴い汚れていきますので、定期的に新しいものに交換が必要です。エンジンオイルの交換は車のメンテナンスの中でも難易度が低いので、自分で行う方も多いのではないでしょうか?
メーカーや整備工場で行う場合は交換したオイルの処分まで行ってくれますが、自分で交換した場合には処分も自分で行う必要があります。
廃油になったエンジンオイルを処分する方法には、
・ガソリンスタンド
・カー用品販売店
・自治体
・廃油専門業者
といった4つの方法があります。それぞれ確認していきます。
1 ガソリンスタンドで引き取ってもらう
ガソリンスタンドでは、多くのお店がサービスの一環として「エンジンオイルの交換」を行っています。そうしたガソリンスタンドは廃油貯蔵タンクを持ちますので、エンジンオイルを引き取ることは事実上可能です。
エンジンオイルは直火使用工業炉などの燃料として再利用することができます。そうしたリサイクルのためにも、エンジンオイルの回収に応じているガソリンスタンドは数多く存在します
しかし、実はエンジンオイルの回収を大々的に謳っているガソリンスタンドはなく、「店舗次第」になることも多いです。店舗でエンジンオイルの交換を行っている以上、オイル交換自体を任せてほしいという思いもあるのでしょう。
また、同じガソリンスタンド会社(〇〇石油など)でも、店舗によって対応が異なる場合がありますので注意しなければいけません。個人経営のガソリンスタンドでは廃油貯蔵タンクを持っていないところもあり、そうした場合は物理的に回収が不可能なのです。
ガソリンスタンドでエンジンオイルの回収を行っているお店があるのは確かですが、お店によって対応は異なることを理解しておきましょう。
直接持ち込む前に、
・回収が可能かどうか?
・回収料金は必要か?
・回収量の上限はあるか?
といったことを事前に電話で問い合わせるようにしましょう。
2 カー用品販売店で引き取ってもらう
カー用品店でもガソリンスタンドと同様、エンジンオイルの交換を行っているお店が多くあります。そうしたお店でしたら、エンジンオイルを引き取ることは物理的には可能であると言えます。
しかし、こちらもやはり店舗次第で対応が分かれます。
エンジンオイルの交換を店頭で申し込まれた方の分しか回収していない場合もあれば、新しいエンジンオイルを店頭で購入してから交換された場合のみ回収を行っている場合もあります。
こちらもガソリンスタンドと同様に
・回収が可能かどうか?
・回収に条件はあるか?
・回収料金や手数料は必要か?
・回収量の上限はあるか?
といったことを事前に確認するようにしましょう。
3 自治体でゴミとして処分
自治体によっては、エンジンオイルを一般ゴミとして処分できるところもあります。自治体のゴミ捨てルールは自治体ごとに異なります。一般ゴミとして処分できる自治体もあれば、エンジンオイルを産業廃棄物扱いにしておりゴミとして処分できない自治体もあるのです。
まずは、お住まいの自治体でエンジンオイルの処分ができるかを確認する必要があります。現在はほとんどの自治体がホームページ上でゴミの処分方法や区分を案内しています。
インターネットで「お住まいの市区町村 エンジンオイル 処分」といったキーワードで検索し、自治体のホームページを確認してみてください。もしもそこに明確な記載がなければ、窓口に電話で確認をすることになります。
回収している自治体の多くでは、エンジンオイルの処分方法も指定されています。
「廃油処理パック」を使っての処分が指定されている自治体も多くあり、その場合はホームセンターやカー用品販売店で売られている廃油処理パックを購入し、説明書に従って廃油の処理を行います。
廃油処理パックとして代表的な「ポイパック」の使い方は非常に簡単で、箱の中のビニールを箱にかけ、オイルを流し込むだけです。中の吸油剤に油が染み込むので、あとはビニールの口を縛り、箱を閉めてゴミ袋に入れれば処分完了です。
4 廃油回収専門業者に依頼
もしも、お近くのガソリンスタンドや販売店が引き取り対応しておらず、自治体でも回収不可であった場合には、廃油回収専門業者に依頼することになります。
廃油の回収業者は全国にいくつも存在します。インターネットで「お住まいの市区町村 廃油回収業者」で検索し、対応エリアに含まれる業者を探してみてください。
廃油はリサイクルすることができると先述しましたが、廃油回収業者でも回収した廃油の再利用を行なっています。そのため、業者によっては料金がかからない「無料引き取り」や「買取り」を行なっている場合もあります。
廃油の処分方法:食用油の捨て方
揚げ物で使った食用油を捨てる際、多くの方はクッキングシートなどに染み込ませて捨てていらっしゃると思います。そうした捨て方をされる場合、気をつけないと自然発火を起こして火事になってしまう危険性もあります。
揚げ物の残り油は処分頻度も高い廃油ですので、火事にならないためにも安全で正しい処分方法を知っておきましょう。
1自治体で燃えるゴミとして処分
食用油は自治体の一般ゴミ回収で捨てることができます。
捨てる際には、直接油をゴミ袋に流し込むのは避けましょう。温度が十分に下がっていない場合にはビニールが溶けてしまいますし、穴が空いていた場合にも漏れ出すことになります。
推奨される処分方法は、まず牛乳パックまたはビニール袋を用意してその中に新聞紙やキッチンペーパーを丸めて入れます。そこに水と油を流し込み吸収させるといった方法です。ちなみに、水は発火を防ぐために使用します。
廃油処理アイテムとして市販されている「油吸わせ隊」や「固めてガチットポイ」を使っても処分することができます。
2自治体の廃油回収を利用
食用油はバイオディーゼル燃料としてリサイクルされ、自動車用燃料としても使われています。自治体でもそうしたリサイクルに積極的になっており、リサイクルのための「廃油回収」を推奨している自治体もあります。
廃油回収の有無や方法は自治体によって異なります。空のペットボトルに廃油を入れ、スーパーなどに設置されている廃油回収ボックスに入れるところもあれば、「毎月◯日は廃油回収の日」と定め、ゴミ回収の一環で廃油回収を行なっているところもあります。
ゴミとして処分するよりも手軽に処分できる方法ですし、リサイクルにもなります。一度自治体のホームページにて、廃油回収を行なっていないか確認してみてください。
3廃油回収業者に依頼
食用油もエンジンオイルと同様にリサイクルして使うことができるので、廃油回収業者も積極的に回収を行なっています。業者によっては油の買取を行なっているところもありますので、使用済みで処分に困る油をお金にすることができるかもしれません。
インターネットで「お住まいの市区町村 廃油回収業者」で検索し、対応エリアに含まれる業者を探してみてください。
買い取ってもらうに越したことはないですが、中には最低回収量が「一斗缶単位」などで決まっている業者もいます。家庭で出る食用油の量はそれほど多くはないので、そうした場合は使えないこともあります。
また、廃油回収業者に依頼する場合、資格のない業者に依頼することで詐欺や犯罪への加担といったトラブルになる可能性もあります。廃油回収業者を選定するときには、「一般廃棄物処理許可証」の表記がある業者かどうか確認するようにしましょう。
4食用油を捨てる際の注意点
食用油は一般ゴミとして捨てる方も多くいらっしゃいます。その際問題になるのは自然発火のリスクと、油の漏れによる汚染です。こうした問題を避けるためにも、
・油と一緒に水を含ませること
・袋を二重にするなど漏れないように細心の注意を払うこと
を心がけましょう。
廃油の処分方法:灯油の捨て方
使い切れずに残った灯油は次のシーズンには使わないほうが良いです。なぜなら、灯油は放置しておくと酸化による劣化が進み、変質灯油になります。変質灯油をヒーターやストーブに入れると、着火不良や異常燃焼になるので危険です。
そうした危険を避けるためにも、使えなくなった灯油は廃油として処分しましょう。
灯油は廃油の中でも「特別管理産業廃棄物」に区分けされます。特別管理産業廃棄物とは、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」を指します。
そのため、灯油を処分する際には、専門に扱う産業廃棄物処理業者に依頼しなくてはなりません。自治体での処分はできないのです。
灯油を処分する方法は3つあり、
・灯油販売店(ガソリンスタンドやホームセンター)
・灯油配達業者
・不用品回収業者
といった業者に依頼出来る場合があります。
1灯油販売店で引き取ってもらう
灯油はガソリンスタンドやホームセンターといった灯油販売店で引き取ってもらうことができる場合があります。
しかし、これもエンジンオイルと同様に「お店によって可否が異なる」ということを頭に入れておきましょう。「当店で灯油を購入された場合に限る」などの条件が設定されている場合もありますので、持っていけば必ず回収してもらえるというわけではないのです。
灯油販売店での回収を考えていらっしゃる方は、
・回収が可能かどうか?
・回収料金は必要か?
・回収量の上限はあるか?
といったことを事前に電話で問い合わせをするようにしましょう。
2灯油配達業者に引き取ってもらう
【UNY OIL(https://www.unyoil.com/)】
【SHUWA(https://toyuhayawari.jp/)】
地域によっては、灯油を家まで宅配してくれるサービスを使っている方もいらっしゃるでしょう。灯油の配達を行なっている業者の中にも、古くなった灯油を回収してくれる業者もあります。
「UNY OIL」や「SHUWA」などの灯油配達業者では2019年8月現在、灯油の回収も引き受けています。こうした灯油の配達サービスを利用されている方は、訪問時に古い灯油を処分することができるのです。
ただし、すべての灯油配達業者が回収に応じているわけではありません。
また、基本的には灯油配達業者から灯油の購入を行なっている方向けのサービスとなりますので、回収だけの依頼はできません。
さらに、車での回収の場合はどうしても回収可能量に限界があります。そのため、
・少量なら可能
・事前に回収希望量の申し出が必要
といった条件を定めている業者も多いです。
灯油配達業者に依頼する場合も、まずは回収しているかどうかを事前に確認するようにしましょう
3 不用品回収業者に依頼
ガソリンスタンドで回収してもらえない場合には、不用品回収業者を依頼するという方法があります。
不用品回収業者も全国各地に所在しています。インターネットで「お住まいの市区町村 不用品回収業者 灯油」と入力して検索するか、「不用品回収業者の比較サイト」で探すことができます。
不用品回収業者に依頼すると有料にはなりますが、自宅まで引き取りに来てくれます。量の多い灯油の場合は運び出しが大変ですよね。引き取りに来てくれると運び出す必要がありませんので、手軽に処分することが可能になります。
廃油は危険物。正しい方法で早めに処分を。
不要になった廃油はこうした方法で処分することができます。
廃油は引火や爆発の危険性を持っているので、扱いには慎重さが求められます。放置しておくことも危険なので、なるべく早く処分する方が良いでしょう。
廃油は捨て方によって環境汚染や水質汚染に繋がることもあれば、リサイクルすることで逆に資源として再利用することもできます。大事なのは正しい処分方法を選ぶことです。
エンジンオイルはエンジンオイルの正しい処分方法をとり、
食用油は食用油の正しい処分方法をとり、
灯油は灯油の正しい処分方法をとる必要があります。
きちんとした方法を選び、早めの処分を心がけましょう。
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