危険物注意!ガソリンの処分方法と車から抜き出す方法を解説
「ガソリンの捨て方が分からず放置したまま」
「車を手放したいんだけどガソリンをどう処分したらよいの?」
とお困りの方は少なくないでしょう。
危ない、というイメージもあるガソリンですが、やはり処分は簡単ではありません。
下手をすれば爆発事故につながる恐れもありますから、慎重に行動しましょう。
ここでは、ガソリンの処分方法や注意点、車から抜き出す方法についてご説明していきます。
目次
- ガソリンを処分する5つの方法と注意点
- 1ガソリンは危険物扱いになります
- 2ガソリンを川に流さないでください
- 3ガソリンを入れる容器は消防法で定められている
- 4ガソリンを処分する方法は5つ!
- 車を売るときや下取りに出すときガソリンはどうする?ガソリンを抜き出す方法について
- 1ガソリンを抜き出す方法1 給油口から
- 2ガソリンを抜き出す方法2 燃料タンクから
- 3ガソリンの取扱には危険物取扱者の資格が必要です
- ガソリンを譲渡したい!再利用の可否と運び出しの注意点
- 1ガソリンの再利用はリスクが高いです
- 2ガソリンの保管には市区町村の許可が必要です
- 3灯油ポリ容器でガソリンを運搬することはできません
- ガソリンスタンドで回収してもらえる?少量ならゴミに出してOK?
- 1ガソリンスタンドで回収してもらう費用の相場と条件
- 2ガソリンは自治体で廃棄できない!でも、少量の場合は
- 急ぎのときはガソリンの処分を不用品回収業者に依頼しよう
- 1ガソリンを回収するのは特別管理廃棄物処理業者
- 2業者に依頼するときの費用の相場は?
- ガソリンの処分方法は慎重に考えましょう
ガソリンを処分する5つの方法と注意点
はじめに、車の中に入っている、あるいは容器で保管してあるガソリンを処分する方法にはどのようなものがあるか知っておきましょう。
また、ガソリンを扱う際の注意点についても解説します。
1ガソリンは危険物扱いになります
ガソリンを処分する上で頭に入れておきたいのが、危険物に該当するということ。
消防法第2条第7項に基づき「危険等級Ⅱ第四類危険物」の第1石油類に分類されています。
第四類危険物は引火しやすい特徴をもつことから引火性液体とも呼ばれており、引火点はマイナス40℃以下と低いのです。沸点は40~220℃となります。
ライターの火や静電気に引火する危険性を潜めています。
蒸気を吸引すると人体にも影響を及ぼすことがあり、多量になると頭痛や眩暈、吐き気などのガソリン中毒を起こす可能性もあります。
2ガソリンを川に流さないでください
ガソリンは非水溶性で水に溶けない性質をもつため、水の中に入れてもその性質は失われることがありません。
従って、万が一下水道にガソリンが流れてしまうと下水管内で揮発し爆発事故が発生する恐れがあります。また、下水道施設に重大な被害をもたらしたり、周辺地域に悪臭被害が及ぶ可能性もあるのです。
ガソリンを下水道に流すと下水道法第18条、川に流した場合は河川法第67条に基づいて罰則や罰金が科せられる場合があります。
環境汚染にもつながりますから、ガソリンは絶対に洗面台や川に流さないでください。
3ガソリンを入れる容器は消防法で定められている
ガソリンは危険物ということもあり、消防法令で一定の強度をもった容器に入れることが定められています。
灯油用のポリ容器にガソリンを入れることは禁止されているので気を付けましょう。
容器の強度に応じて容量が決められています。
●プラスチック容器・・・最大10リットル(性能試験確認をおこなったもの)
●金属製容器(ガソリン携行缶)・・・60リットル以下(運搬車両) 22リットル以下(乗用車)
●金属製ドラム缶・・・250リットル以下(運搬車両)
4ガソリンを処分する方法は5つ!
不要なガソリンを処分したいとき、その選択肢は大きく分けて5つです。
1 ガソリンを車から抜くのはどうする?
2 譲渡する
3 ガソリンスタンドで回収してもらう
4 ゴミとして捨てる(少量の場合)
5 不用品回収業者に頼む
意外にも選択肢が多いようですが、1~4の処分方法にはどれも条件があり、必ずしも現実的とは限りません。
最終手段として5の不用品回収業者への依頼も念頭に置いておきましょう。
その上で、次項よりそれぞれの処分方法の解説をおこなっていきます。
車を売るときや下取りに出すときガソリンはどうする?ガソリンを抜き出す方法について
ガソリンを単体で買取している業者はないため、ガソリンのみを売却することは難しいです。
車の査定では年式やボディ、車内の状態、走行距離などが基準となるためガソリンは関係がないことがほとんどです。
だからこそ、ガソリンが満タンの状態で業者に引き渡すのは少々もったいない話。
車を売りたいときや下取りに出したいときの、残ったガソリンを自分で抜き出す方法をご説明します。
1ガソリンを抜き出す方法1 給油口から
「まだ使えるガソリンを他の車に移し替えたい」「古くなったガソリンを取り替えたい」というとき、自分でガソリンを抜き出す方法は2つあります。
ひとつは、給油口から吸い上げる方法です。
灯油ポンプを用いて抜き出すことは不可能ではありませんが、ホースの長さが短くいためタンクからすべてのガソリンを抜き出すことは難しいでしょう。
灯油ポンプにホースを取り付ければ長さを足すことができますが、こぼれないように注意が必要です。
ホース単体で使用する方法もあります。
その場合、ガソリンを入れる容器を車体よりも低い位置に置いて作業してください。
より作業を楽にするならば、カーショップやネット通販などで売られている緊急時用の給油ポンプを用いるのが良いでしょう。
吸出し口と排出口の両方が蛇腹になっており、灯油ポンプに比べて長いため扱いやすいです。
給油ポンプは安価なものなら1,500~2,000円で購入できます。
なお、ポンプを選ぶときは必ず手動式にしてください。
電動ポンプは静電気を発生させ、発火事故に繋がる恐れがあります。
2ガソリンを抜き出す方法2 燃料タンクから
ガソリンを抜き出す2つめの方法は、燃料タンクから直接取り出す方法です。
ジャッキで車体を持ち上げ、下にある燃料タンクから手動ポンプを用いてガソリンを吸い出します。
ホースを固定しているボルトを緩め、ホースを取り外したらその部分にポンプを入れてガソリンを抜き出します。
比較的新しい年式の車種になると、ガソリンの盗難やいたずらを防ぐためにタンクにホースを入れられない構造になっていることがあり、抜き出すのが困難なケースも少なくありません。
この方法であればタンク内のガソリンを空にすることが可能ですが、汚れやゴミなども一緒に流れ出る恐れがあり難易度の高い作業といえます。
3ガソリンの取扱には危険物取扱者の資格が必要です
ガソリンを自分で抜き出す方法をご紹介しましたが、これらはあくまでも緊急時の方法と考えておいてください。
というのも、ガソリンは危険物のため知識のない人が自己判断で取り扱うにはリスクが伴います。
本来であれば、ガソリンの取り扱いには「危険物取扱者」という資格が必要です。
危険物取扱者は甲、乙、丙の3種類に分けられており、いずれかの資格があればガソリンを取り扱うことが可能です。
(※資格が必要なのは200リットル以上のガソリンを取扱い場合です。)
ガソリンを譲渡したい!再利用の可否と運び出しの注意点
車を売却する際に抜き出したガソリン。
もったいないから誰かに再利用してもらいたい。
あるいは、容器に保管してある新品のガソリンを誰かに譲渡したい。
と考えた方もいることでしょう。
ここでは、ガソリンは再利用できるのか、譲渡する際の運び出しで気を付けるポイントについてご説明します。
1ガソリンの再利用はリスクが高いです
まず念頭に置いておきたいのが、ガソリンを再利用することにはリスクがつきものということ。
燃料タンクから抜き出したガソリンには、タンク内の汚れやゴミも混ざっています。
不純物が含まれたガソリンをそのまま別の車に移し替えて使用すると、エンジンが故障してしまう恐れがあるのです。
また、ガソリンは古くなると劣化し、悪臭や故障の原因になります。
従って、ガソリンの再利用はできるだけ控えることが望ましいでしょう。
もちろん、ガソリン携行缶に保管してある新品のガソリンであれば譲渡することが可能です。
2ガソリンの保管には市区町村の許可が必要です
ガソリンは火災発生の危険が高いことから、買いだめは推奨されていません。
消防法令で定められたガソリン携行缶に保管する場合でも、火災予防条例に基づき、届け出が必要となります。
40リットル以上200リットル未満の場合は、市町村条例で定められた消防機関の許可が必要です。
200リットル以上のガソリンを保管したい場合は、消防法令で定められた市町村の許可が必要です。
たとえ、一般家庭ではなくオフィスや倉庫などに保管する場合でも、同様に届け出をしなければなりません。
許可申請をクリアするためには、ガソリンを保管する建物が耐火構造であること、不燃材料が用いられていることなどの要件が求められます。
3灯油ポリ容器でガソリンを運搬することはできません
以上の点を踏まえ、ガソリンを家族や知人、友人などに譲渡する場合、必ずガソリン携行缶で運搬してください。
灯油用ポリ容器やペットボトル、灯油用の一斗缶などで運搬することは消防法令で禁じられており、大変危険を伴います。
消防法令に適合した容器に入れて運ぶことが大前提です。
ガソリンを車で運搬するときの注意点は以下になります。
・容器の外部に「ガソリン」および「火気厳禁」と明記する
・きちんと密栓し、注入口を上向きにする
・運搬中に容器が転倒したり破損したりしないように乗せる
・1台に200リットル以上を積む場合は「危」マークの表示や消火設備が必要
・容器を車両に搬入、搬出する際はエンジンを切る
・高圧ガスや酸化性物質との混載はできない
不明点が疑問点がある場合は、近隣の消防本署に問い合わせるようにしてください。
ガソリンスタンドで回収してもらえる?少量ならゴミに出してOK?
車の売却や下取り、廃車にする予定もなければ譲渡先もない。
不要なガソリンの処分に困ったとき、次に候補に挙がる選択肢が「ガソリンスタンド」と「自治体」での回収です。
ガソリンスタンドでの引き取りや自治体のゴミに出す方法、条件などをみていきましょう。
1ガソリンスタンドで回収してもらう費用の相場と条件
資格を持っていないのに大量のガソリンを扱うことは大変危険です。
また、少量であっても自分で車の燃料タンクからガソリンを抜き出す作業は高い技術を必要とします。
そこで、ガソリンを処分する一つの方法として「ガソリンスタンド」での回収が挙げられます。
ただし、ガソリンの量によって価格が上がる可能性があります。
チェーン店であっても店舗によって費用が異なる場合もあるため、事前に確認を取っておいた方が良いでしょう。
また、ガソリンスタンドでは無条件でガソリンの回収をおこなっているわけではありません。
店舗によっては、その店で購入したという証明(レシート)がなければ回収してくれないところもあります。
レシートがなくても有料で引き取ってくれる場合もあれば、断られる場合もあるためケースバイケースです。
ENEOSや昭和シェル石油、出光など大手企業のガソリンスタンドを含め、ほとんどの店舗では大々的にガソリンの回収サービスをおこなっているわけではありません。
「そもそも回収していない店舗もある」ことを頭に置いておいた方が良いでしょう。
2ガソリンは自治体で廃棄できない!でも、少量の場合は
原則、ガソリンはゴミとして廃棄することができません。
一般的な自治体ではガソリンを「市(区、町)の指定処理困難物」としており、回収自体をおこなっていません。
多くの市区町村においては販売店(購入店)あるいはガソリンスタンド、処理業者に引き取ってもらうことを推奨しています。
引き取り業者を見つけられない場合は、お住まいの管轄の清掃事務所に相談すれば適切に対処してくれる業者を紹介してもらえます。
ごくわずかなガソリンをわざわざ業者に引き取ってもらうのは気が引けるかもしれません。
50cc~100cc程度のガソリンであれば、いらない紙や新聞紙に含ませて「燃えるゴミ」に捨てることも可能です。
これは、実際に一部の自治体が認めている方法ですが、自治体によっては禁止している場合があるため、事前に確認しておくことが望ましいでしょう。
発火の危険を避けるために、新聞紙にしみこませるときに台所用洗剤と混ぜて中和させることをおすすめします。
急ぎのときはガソリンの処分を不用品回収業者に依頼しよう
自分でガソリンスタンドに持ち込むことができない、引越しなどで早急にガソリンを処分する必要があるといったケースでは、不用品回収業者に依頼するのがベターです。
ガソリンの処分を不用品回収業者に依頼ケースを詳しくみていきましょう。
1ガソリンを回収するのは特別管理廃棄物処理業者
ガソリンを回収してくれる業者は、正確には「特別管理廃棄物処理業者」と呼ばれています。
特別管理廃棄物というのは、ガソリンのような引火性の廃油やアスベストのような人体に害を及ぼす恐れのある廃棄物を指します。
事業活動によって生じたガソリンは「特別管理産業廃棄物」、家庭で不要となったガソリンは「特別管理一般廃棄物」に該当します。
ガソリンを不用品回収業者に依頼する際は、特別管理廃棄物の処分許可、あるいは収集運搬許可を自治体から得ている業者を選ぶようにしましょう。
2業者に依頼するときの費用の相場は?
ガソリンの回収を特別管理廃棄物処理業者に依頼するとき、かかる費用はいくらくらいなのでしょうか。
実際のところ、業者によってまちまちとなりますが、40~80円(㎏)程度と考えておきましょう。これに加え、出張料や車両費が発生する場合があります。
「ガソリン携行缶が大量にある」「ガソリン以外にも引き取ってほしい不用品がある」という場合は、トラック積み放題プランを選ぶのも良いです。
基本料金に見積もり料金、出張費、車両費(軽トラック)を併せて25,000円~が相場となります。
ガソリンの処分方法は慎重に考えましょう
ガソリンは一般のゴミとは異なる「危険物」です。
不要になったからといって、ポイと捨てられるものではありません。
不法投棄をおこなうと罰則を受けるどころか、大事故につながり皆さん自身の命に危険が及ぶことがあるのです。
ガソリンの処分方法は慎重に考え、困ったときはまず自治体に相談し、適切な処置を仰ぎましょう。